長い時間と手間をかけて
木材となる木を育てます
わたしたちの身近には、たくさんの木製品や木造建築物がありますが、山に苗木を植えてから木材として使える大きさになるまでには、とても長い時間がかかります。また、木を育てるためには、雑草や雑木を刈り払う「下刈り」、枝を切り落とす「枝打ち」、一部の木を伐って本数を減らす「間伐」といった細やかな手入れも欠かせません。
人工林は、人が木を植え、長い時間をかけて、手入れしながら育ててきたことで保たれてきたのです。
人工林は、人が木を植え、長い時間をかけて、手入れしながら育ててきたことで保たれてきたのです。
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吉野林業は独自の育成方法により
良質な木材を生み出してきました
奈良の林業、特に奈良県吉野地域(主に川上村、東吉野村、黒滝村)で行われる林業は「吉野林業」と呼ばれ、「密植 (通常より3〜4倍もの密度で木を植える)」、「多間伐 (何度も間伐を繰り返す)」、「長伐期 (長期間育ててから伐採する)」といった、独自の育成方法により、吉野杉や吉野桧といった良質な木材を生み出してきました。
また、一度にすべての木を収穫(皆伐 )するのではなく、山全体のバランスや木の成長を見ながら、部分的に収穫(択伐 )していくので、森林や周囲の環境、生態系へ与える影響が小さい、ということも特徴です。
また、一度にすべての木を収穫(
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長い時間をかけて丁寧に育てられた木は、節ふし(枝の出ていた部分)が少なく、年輪幅が均一で非常に細かく、幹の根元から先端までの太さが一定でまっすぐな木になります。
少しずつ木を収穫する「
択伐 」森林を構成する樹木を部分的に収穫する方法。一部の樹木だけを伐り、それ以外の樹木は残すため、土壌やそこに生えた植物、森林環境が保たれます。
一度に全て収穫する「
皆伐 」森林を構成する一定の範囲の樹木を一度に全て収穫する方法。一度にまとまった量の木材を出すことができ、作業効率の点で優れています。しかし、急峻な森林で広範囲の皆伐を行うと、山肌が露出し、土砂の流出や山崩れが起こりやすくなります。
森林を次の世代につないでいくために
今、適切な森林環境管理が
求められています
奈良の森林は、林業という人の営みを通じて、良質な木材を生み出し、数百年もの長い間維持されてきました。
一方、近年は、山村地域の過疎化や木材価格の低迷等により、林業の担い手が減少し、間伐等の必要な手入れが行われない施業放置林 が増えてきています。
森林は、良質な木材を生み出すだけでなく、災害の防止や自然環境・生物多様性の保全などにもつながり、私たちにとってなくてはならないものです。このような森林を次の世代につないでいくためにも、今、適切な森林環境管理が求められています。
奈良県が目指す「新たな森林環境管理制度」
一方、近年は、山村地域の過疎化や木材価格の低迷等により、林業の担い手が減少し、間伐等の必要な手入れが行われない
森林は、良質な木材を生み出すだけでなく、災害の防止や自然環境・生物多様性の保全などにもつながり、私たちにとってなくてはならないものです。このような森林を次の世代につないでいくためにも、今、適切な森林環境管理が求められています。
奈良県が目指す「新たな森林環境管理制度」
- 写真協力:
- 黒滝村森林組合
- 庭想人(にわおもいびと)