2024.05.01(更新日)
親子ではじめよう!奈良の木を使った木工体験
「木の車」を作ってみよう!
今回指導いただく「神野山木工館」指導員の松村朋子さん
今回、木工体験を行う森口さん親子
①まずは道具の説明から
上から原木用(剪定用)のこぎり、両刃のこぎり、さしがね
木工用のこぎり、さしがね(曲尺)、万力など、道具の使い方や何のための道具か、実践を交えて松村さんが詳しく教えてくれます。
●さしがね
裏表に目盛りがついたL字型の定規です。長い部分を「長手」、短い部分を「妻手(短手)」と呼びます。
●木工用のこぎり
のこぎりにも様々な種類があり、生の木を切るときに用いるのが原木用のこぎり。今回のように乾いた木材を加工するときに用いるのが両刃のこぎりです。
両刃のこぎりは、横引き用と縦引き用の刃があり、異なる形の刃を用いることで、材料を効率よく切断できるように工夫されています。横引き用の刃は、小刀のような刃が交互に並んでいて、繊維を1本1本切断する仕組みがあります。縦引き用の刃は、刃先がのみの歯のような形をしていて、繊維に沿って材料を削り取る仕組みがあります。横引きの方が切りやすいため、初心者はできるだけ横引きで切るのがおすすめです。
●万力
材料を安定させるための道具。のこぎり作業は材料が動くとうまく切れないため 小さなお子様が 安全にのこぎり作業をするためには 万力を利用することをおすすめします。
幅が広くて万力に挟めない材料、薄い材料は縦に挟んでのこぎりも縦に動かします
②車の土台となる木を選びます
幅や長さがいろいろな材料から 完成イメージを思い描きながら自分好みの土台となる木を選びます。
➂車体部分の木材を選びます
完成したイメージを想像しながら必要な材料を選んでいきます
切りたい長さのところにさしがねと鉛筆で印を付けていきます
④サイズに合わせて木材を切ります
万力で木材を挟み、包丁で食材を切るときのように猫の手にした状態で刃に沿わせて切り込みを入れてから、のこぎりを両手で持って前後に押し引きして木材を切ります。無理に力を込めると、のこぎりの刃が曲がり、はね返ってくる恐れがあるので注意が必要です。また、切っている最中に横から覗き込むと、切り口がずれてしまうので、まっすぐの姿勢を保ち、手を動かすことが大事です。木材を刻む音が鈍くなってきたら、もうすぐ切り終わる合図です。
手を猫の手にしてのこぎりの刃に沿わせ、切るための溝をつくります
のこぎりをしっかり両手で握って溝に沿って刃を前後させ切ります
⑤木工用接着剤で接着します
切った木材を木工用接着剤でくっつけます。乾燥するのを待ちながら車体部分を③〜⑤の工程で作り上げていきます。
木工用接着剤は軽くつけて薄く延ばすようにしましょう
⑥車輪を付けます
車輪は電動工具で松村さんに付けてもらいます
オリジナルの木の車が完成!
<体験者の声>
森口なず菜ちゃん(小学4年生)
のこぎりの刃の違いも知らなくて、最初はのこぎりを使うのが怖かったですが、だんだん慣れてきたらのこぎりで木を切る音の違いや感触もわかるようになって面白かったです。想像して木の組み合わせを考えるのは難しかったけど、考えながら作るのは楽しかったので、もう一度作りたいと思いました。
森口若奈さん(お母さん)
子どもの頃に使って以来、のこぎりもさしがねも万力も触ったことがなかったので、娘と一緒に使い方を聞いていましたが、教えてもらってもすぐに使いこなせずおっかなびっくりでした。のこぎりをちゃんと使えるかな?と思って見ていましたが、あっという間に慣れて使っていたので、体験させることの大切さを感じました。
2024.05.01(更新日)
親子ではじめよう!奈良の木を使った木工体験
木の優しい風合い、木の良さを感じる木工体験
「木工館」では様々な木工体験のメニューがあります。子ども向けには、ビー玉ころがし、ブックスタンド、ミニキッチンづくり体験などがあります。使用する木材は、「出来る限り地元で手に入るものを」との想いから山添村内で手に入れた材料を使っています。
体験に来るのは、夏休みの自由工作のために訪れる家族連れが多く、小さい子では3歳くらいからのこぎりや釘打ちを体験する子どももいるそうです。なかには木工工作コンクールに応募する作品を製作するために2年間通ってくる子も。
ビー玉転がし 1,000円 ※指導料別途要
ミニキッチン 3,500円 ※指導料別途要
また、大人向けにはグリーンウッドワークという乾燥させていない生の木を使った木工ワークショップを開催しています。このワークショップで使用するのは山添村内のキハダです。キハダの樹皮は黄檗(おうばく)と呼ばれ、昔から陀羅尼助の原料として用いられています。
立木のキハダを伐採するところから始まるワークショップは、全国的にも珍しい体験プログラム。そのため、数日間にもおよぶ行程で近隣での宿泊を伴うワークショップであるにもかかわらず、北海道や東京、九州など全国から参加者がやって来ます。参加者の方は、暮らしを大切に、家での生活を豊かにと、自分で使うための椅子を作りに訪れるのだそうです。
森のスツールづくり(グリーンウッドワーク) 10,000円/脚 ※2脚以上の場合は6,000円/脚
道具を使いこなせないと作れないのが木工の世界だと、松村さんは言います。「木工体験に来てくださる方は年齢に関係なく簡単にできると思っている人が多いと感じています。現在は自宅に工具がない家庭が多く、こういった工具と触れ合う環境にはなかなか身を置けません」。また、昨今の災害時には、暖を取るために、焚き火用の木を切ろうとして普段使い慣れていないためにのこぎりでケガをする人が多いそうです。「木工のYouTube動画などを見ると、いとも簡単に工具が使えるように見えますが、実際は工具を使うには技術が必要で難しい。ものづくりの楽しさだけを教えるのではなく、難しさをいかに知ってもらうか。また、大事なことは失敗すること。接着面積が小さすぎて、パーツ同士がしっかり付かないとか、切ろうと思っていたより長さが短くなってしまったなど、たくさんの予期せぬ失敗が木工をしているとよく起こります。それにどう対処するのか考えて、試行錯誤を繰り返すことで自分の経験となるのです」
「難しかった~」と言う子どもには、松村さんは「どこが難しいと思ったのか、日記に書いたらどう?」と声をかけることもあるそうです。「(日記に書くことは)報告する能力にもつながりますし 難しかったことをしっかり記憶に残すためです。実際に自分でものづくりの難しさを知ることで、ものを大事にする気持ちも養われると思っています」
木工体験には“学び”が詰まっている。
「木工工作を通して多くのことが学べると思っています。
寸法・図形・計算などの算数の知識。自分の作りたいものを相手に言葉で伝えるためには、国語の知識。木の性質や物の力加減を知るためには、理科の知識。材料がどこからやってくるのか等、森林環境を知るためには、社会の知識など。完成形を考えながらパーツを考えて作ることは、プログラミングにもつながっていきます。
プログラミングが学校の授業に盛り込まれているからこそ、幼少期の実際のものづくりはとても大切だと思います。」
また、子どもたちにとって家のお手伝いである料理には木工に通じるものがあると松村さんは言います。
「包丁やのこぎり、ナイフも刃物です。包丁に慣れている子どもは、のこぎりやナイフを扱うのも上手です。料理は分量を倍にしたり、割ったり、重さを測ったりするので算数の要素にもつながります。
盛り付けはデザインですから、普段からお手伝いをしている子はセンスが良いことが多いです。木工工作を上手になりたいという子どもには、まずお家でお料理のお手伝いをたくさんしながら木工工作を続けたらいいですよ、とお伝えしています。当館で準備しているキットをきれいに作ることも大切ですが、これからの時代は考えることが求められます。幼少期にゼロからの物作りに是非チャレンジしてほしいです。
何を作ったらいいかわからないという子には、まずは生活の中で自分が不便だと感じることを解決できるものを作ったらどうか、と提案してみてもよいかもしれません。また、設計図が描けない子には段ボールで試作をすることをお勧めしています。図面で考えても実際には思っていたより大きすぎたり、複雑すぎたりすることも多くあるので、サイズや立体感の感覚を身につけるためにも、まずは段ボールで作ってみるとイメージがつきやすいと思います。不便なことを解決しようとすることが、新しいアイデアを生み出すことにつながります。木工体験は私たちの生活を豊かにしてくれるものだと思っています」
木工がもっと身近な体験となることを松村さんは望んでいます。
「家にちょっとした作業机と万力があって、のこぎりと廃材さえあれば、家でも木工は出来ます。子どもがやりたいといったら木工が出来る環境が社会全体に広がってくれるのが私の理想ですね。家でできることに限界が出た時にだけここに来てくれるようになる。そんな社会になってほしいですね」。
木の感触や香りを感じながら手を動かし、気づけば大人も子どもも夢中になる木工体験。工具を扱う難しさ、試行錯誤しながらも完成したときの喜びはきっと子どもにとって忘れられない思い出になるはず。まずは、木工体験ができるスポットを訪れて、気軽に楽しんでみませんか。
INFORMATION
山添村 神野山木工館
※木工体験会場は 森林科学館
住所 | 山辺郡山添村伏拝888-1 フォレストパーク神野山内 |
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TEL | 0743-87-0285(神野山観光協会 水・木休み) |
営業時間 | 9:30〜16:00(完全予約制) |
駐車場 | 木工館前5台 ※フォレストパーク神野山内に多数の駐車場あります。(ただし、環境維持駐車協力金300円/1台) |
体験可能な木工体験 | ビー玉ころがし:1,000円、木の車:1,000円、小さな椅子:1,500円、 レターラック:2,000円、引き出し付きラック:3,000円 など ※別途要指導料 |
予約方法 | メール (naramokkoukyoushitu@gmail.com ) ※加工指導料(半日)1,000円 |
ブログ | http://blog.livedoor.jp/midoriwood/ |
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2024.05.01(更新日)
親子ではじめよう!奈良の木を使った木工体験
奈良県内で奈良の木を使った木工体験を楽しめる施設
①あかり工房吉野
<店舗情報>
住所:奈良県吉野郡大淀町13-12
TEL:0746-32-5282
営業時間(体験可能時間):10:00~18:00
休業日:不定休(見学や体験は前日までの予約制)
HP:http://www.akari-yoshino.com/
SNS:Instagram(https://www.instagram.com/akariyoshino_1211/)
ワークショップInstagram
(https://www.instagram.com/workshop_akariyoshino/)
備考:体験や見学は前日までの完全予約制
<体験内容>
・吉野桧と和紙の三角シェードのあかりづくり体験:1人6,000円(2名様より受付、最大8名様まで)
・吉野桧シートのキャンドルホルダーづくり:1人2,000円(2名様より受付、最大10名様まで)
[予約方法]
電話・メール(pc@akari-yoshino.com)
予約サイト
(じゃらん体験https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000181096/
専用サイトhttps://akari-yoshino.urkt.in/ja/direct/offices/403/courses)
―店主から一言―
「吉野の自然の中で大切に育てられた吉野桧は香り豊かで木目や艶も美しいです。そんな吉野桧を使い、リラックスタイムにぴったりなあかりを作ってみませんか?
キットを用意していますので簡単に出来上がり、あなただけのオリジナルのあかりが出来上がります。楽しく作って毎日灯せる『あかりづくり体験』お申し込みお待ちしています」
②花井商店
<店舗情報>
住所:奈良県吉野郡下市町新住2764-2
TEL:0747-52-3344
営業時間(体験可能時間):9:00~17:00
休業日:不定休
<体験内容>
・吉野杉の面皮で色々作ろう:1人1,000円
・吉野杉の面皮を使ったピアス・イヤリング:1人2,200円
・吉野杉の面皮で作るスワッグ:1人3,300円
[予約方法]
メール(hanaikeiko@gmail.com)
―店主から一言―
「吉野杉でしか取れない面皮(めんかわ)という素材で、ものづくりをしましょう!」
③寺本木材
<店舗情報>
住所:奈良県吉野郡吉野町峰寺568
TEL:0746-32-0066
営業時間(体験可能時間):9:00~17:00
休業日:日曜・祝日
HP:http://www.teramoto-mokuzai.jp/
<体験内容>
・巣箱づくり:1人800円
・杉スツール:1人3,000円
・踏み台:1人1,500円
・コースター:1人700円
[予約方法]
電話・メール(teramomokuzai@opal.ocn.ne.jp)
―店主から一言―
「世界遺産に登録されている吉野・大峯や社寺をはじめ、吉野町には魅力的なスポットがたくさんあります。吉野に訪れる際は、観光だけでなく吉野材を使ったアイテムづくりにも目を向けてみてください。きっといい思い出になりますよ」
④吉辰商店
<店舗情報>
住所:奈良県吉野郡下市町下市2764-6
営業時間(体験可能時間):8:30~17:30
休業日:土・日曜・祝日
問い合わせ先:0747-52-3649
HP:http://yoshitatsu.net
SNS:Instagram(https://www.instagram.com/yoshitatsu_nara/)
Facebook(https://www.facebook.com/848yoshitatsu)
<体験内容>
・お箸づくりワークショップ:1人2,200円
[予約方法]
電話・メール(info@yoshitatsu.net)
―店主から一言―
「ご要望があれば、吉野杉を使ったキャンドルホルダーや木製小物など木工品の製作もできます。また、吉野杉の育った山並みを観に行く林道ツアーも致します」
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