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折りたためる木、というふしぎな楽しさ

2017.08.24

折りたためる木、というふしぎな楽しさ

折り紙のつもりで手に取った人は、ちょっと驚くかもしれません。プリントのように思えた木目をじっくり見てみるとどの一枚も微妙に異なっており、同じ模様がありません。触れた指先には滑らかな質感が感じられ、さらに顔に近づけてみると本物の木の香りが漂ってきます。そう、一見ただの折り紙にも見えるこの薄紙は、スギを加工してつくられた「きのかみ」。間伐材を0.1mmという限界の薄さにスライスし、特殊な製法で紙と貼り合わせてあるそうですが、いや、それにしても本物の木が紙のように自由に加工できるとは、なんてユニークな発想なのでしょうか。商品を手がけたハートツリー株式会社のマーケティングマネージャー山口さんに、「きのかみ」を開発された背景を尋ねてみました。「私たちのプロジェクトは、日本の木の香りや手触りを多くの子どもたちに体験してほしいという想いからスタートしました。もともと日本には木のおもちゃがたくさんありますが、それらとは違う発想で、もっと親子がお互いにワクワクしながらコミュニケーションできるものをつくれないだろうか。そんなふうに考え、大人にとっても意外性のある“きのかみ”にたどり着いたのです」。確かにこの「きのかみ」には、どこか折り紙にはない「不思議さ」を感じます。木目の美しさや香りと相まって「きのかみ」の遊びは親子にとって、ちょっと印象深い体験になりそうです。

折りたためる木、というふしぎな楽しさ

一人でも多くの子どもが、木を好きになってほしい。そんな想いが「きのかみ」には込められています。

小さな子どもにも、木でモノを作り出すという原体験を

なぜ「きのかみ」には不思議な魅力があるのでしょう。その理由について山口さんとあれこれお話しする中で「木の造形のプチ体験」というキーワードが浮かんできました。「木という素材の大きな魅力は、自由に加工できることですが、まだ道具を扱えない幼い子にとって、それはちょっと難しいですよね。ところが“きのかみ”は折り紙のような手軽さで、折ったり、切ったり、貼ったりして、人や動物、建物など思いのままのカタチをつくることができます」。本当は手間のかかる木のモノづくりを最も手軽に体験できるから、「きのかみ」は意外性があって楽しいのではないか。なるほど、そういう部分はあるかもしれません。紙のように薄く加工されているとはいえ、木目と平行には折りやすく、垂直だと抵抗が強くなるところにも、生きた木に触れている実感があります。子どもにとっては、これも木でモノをつくる貴重な原体験なのでしょう。そしてこの「きのかみ」の世界は、アイデア次第でどこまでも用途が広がる可能性を秘めています。たとえばハートツリー株式会社では、「きのかみ」を応用した扇子をリリース。扇ぐたびに、スギの香りが感じられる人気のアイテムとなっています。また企業とのコラボレーションにより、外国人のお客さまにチョコレートをプレゼンテーションする器として用いられた事例もあるそうです。親子のコミュニケーションを促す木育おもちゃとしてだけでなく、生活を彩る素材や、意外性のあるプロモーションの材料など、新しい用途が広がる「きのかみ」。あなたならどんな場面で活用するか、考えてみるのも楽しそうです。

折りたためる木、というふしぎな楽しさ

「きのかみ」は、親子の工作の楽しいアイテムとして使えるだけでなく、建築に携わる学生が模型をつくる際の素材として使ったり、外国の方への日本土産としても重宝しそう。このほか、旅館などでのおもてなしのアイテムとしても注目を集めています。ハートツリー株式会社では、この「きのかみ」以外にも、子どもたちが本物の木の香りや手触りを体験できるおもちゃをユニークな発想で生み出しています。

2017.08.24

折りたためる木、というふしぎな楽しさ

2017.08.24

折りたためる木、というふしぎな楽しさ

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