木の温もりがあふれ、人が集まる場所へ——西日本最大級のショッピングモール「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」で出会う奈良の木
なかでも、「無印良品 イオンモール橿原」は、店舗の外壁に県産材を使用しているだけでなく、店内に設置された交流スペース「Open MUJI」はすべて吉野杉を使用。親子で木の温もりを感じながらくつろげる空間となっています。今回は新しくオープンした「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」を「無印良品 イオンモール橿原」(以下「無印良品」)店長 下田 裕さんへのインタビューも交えてご紹介します。
建物の外壁に奈良県産材を使用した「ウエスト・ビレッジ」
『ライフスタイル・コミュニティ・パーク』をコンセプトに、地域のコミュニティスペースとして親しまれることを目的に「ウエスト・ビレッジ」はオープンしました。エリア内は、橿原市の市の色である“白・緑・茶褐”をモチーフに、白い外壁、緑豊かな芝生広場や植栽、外壁の一部に用いられた奈良県産材の茶系色を基調にデザインされています。「地産地消・温暖化対策を意識しながら、環境や人にやさしい社会の実現を目指し、橿原市に馴染む施設としてこれからも長く寄り添っていきたい」との「イオンモール橿原」の思いがエリア全体の構成にも込められています。

芝生広場「noNIWA広場」


また、なんといっても「Workman Colors(ワークマンカラーズ)」をはじめ、ドッグランを併設した大型店舗や、日用品からグルメなどバラエティ豊かなショップのラインアップが魅力的です。芝生広場「noNIWA広場」にはキッチンカーが出店し、ヨガやピラティスなどさまざまなイベントも開催されています。



木の温もりがあふれ、人が集まる場所へ——西日本最大級のショッピングモール「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」で出会う奈良の木
売り場面積はなんと約2,500坪!世界最大級の「無印良品」
なかでも話題となっているのは、約2,500坪の売り場面積に約7,000点の商品が並ぶ、世界最大級の「無印良品」の店舗。同店は「自然・循環・文化」をテーマに「地域の人々のすこやかな集いの場を目指す」コミュニティセンターとして奈良県を中心に、近畿圏全域の生産者や事業者との交流を通じて、商品やサービスの開発、店舗づくりに取り組んでいます。

売り場は9つのテーマに分かれ、衣・食・住をはじめ、「ReMUJI」と銘打ったリユース品やリペアした国内外の古家具の販売コーナー、10万冊の本が並ぶブックカフェなどがあり、時間がいくらあっても足りないほどの充実ぶりです。




エントランスを真っ直ぐに進むと、正面に木目の美しい 集いの場「Open MUJI」が見えてきます。「Open MUJI」は、柱や床まですべて吉野杉で作られています。靴を脱いで上がるため、吉野杉の感触をじかに感じることができます。
江戸時代の古民家が多く現存する、橿原市今井町の町家をイメージした縦格子のデザインや吉野地域で古くから製作される酒樽を模した植木鉢など地域に根ざした空間づくりがなされています。天窓から差し込む自然光の明るい空間で1万冊の絵本や児童書を自由に読むことができ、さまざまな木のおもちゃで遊べるとあって、休日には順番待ちが出るほど。子どもはもちろんのこと、大人もゆったりと過ごせる憩いの場となっています。

集いの場「Open MUJI」



「Open MUJI」以外のエリアにも木製の棚や陳列台が配置され、全体にとても温かみのある雰囲気に包まれています。また、店内の随所に観葉植物が置かれ、緑が多いことも店内の特徴です。『奈良県黒滝村森林組合』の協力でアセビやヤマシダをプリザーブド加工し、里山を表現したディスプレイがとくに印象的です。

エントランス付近にある里山のディスプレイ
地元の特産物にもこだわり、食品コーナーでは奈良県産のお米や大和茶、三輪そうめんなども販売。「Cafe&Meal MUJI」では橿原市内にある人気洋菓子店の野菜のスコーンが味わえます。また、インテリアにもなる吉野杉の積み木や、はにわの雑貨、県内の事業者とのコラボによる当店限定オリジナル靴下など、他店では手に入りにくいグッズもたくさん取り揃えています。




木の温もりがあふれ、人が集まる場所へ——西日本最大級のショッピングモール「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」で出会う奈良の木
「無印良品」の店舗づくりにマッチした橿原の地域性
このように、みどころが満載の「無印良品」ですが、どうして橿原市に店舗を出店することになったのでしょうか。また、新しい店舗になぜ奈良県産材を取り入れることとなったのでしょうか。「無印良品」店長の下田裕さんにお話を伺いました。

「無印良品 イオンモール橿原店」下田 裕 店長
―橿原市に店舗を出店することになった理由について教えてください。
「無印良品」を展開する「株式会社良品計画」は、2021年8月に第2創業期を迎えました。企業として次のステップに向けてこれまでの方針を転換し、都市部中心の出店から地方や郊外に積極的に出店して「無印良品」の商品やサービスを全国に広げていきたいという考えがありました。橿原市に出店を決めた理由は、今後の大型店のモデルになるお店を作ろうとしたとき、商圏が広範囲におよぶ「イオンモール橿原」が条件に合ったということ。「無印良品」の中心的なアートディレクターであった田中一光さんの出身が奈良県だったというのも理由の一つです。
また、「無印良品」は大量生産に対するアンチテーゼをテーマに始まったにも関わらず、小売業の宿命として、物をどんどん作って買ってもらい業績を伸ばす一方で、本当にそれでいいのかという矛盾が生まれてきました。当店は『自然・循環・文化』をテーマに掲げており、物を長く使うことや資源の循環といったサステナブルな取り組みこそ、我々こそがやる使命ではないかと。それで「循環」をテーマにした店舗づくりを考えたとき、“日本のはじまりの地”といわれる橿原神宮がある一方で、イオンモールのような大型複合施設もあり、都市機能を備えて人口が増えている橿原市が候補に挙がりました。この古いものと新しいものが入り混じり循環しているような橿原市の土地柄が「無印良品」が目指す循環社会という文脈にマッチしたということもありますね。

買い取った古着を、染めなおして再生

わけあり品として通常は市場に出回らない商品を安く販売

使用されなくなった家具をリペア
―「Open MUJI」や店舗の外壁に奈良県産材が使用されている理由について教えてください。
この店舗に限らず、「無印良品」の今後のあり方として、人が交流したりモノが行き交ったりいろいろな情報が集まる、地域のコミュニティセンターとしての機能を果たしていきたいという思いがあります。そのため、私たちの店舗においても地域の課題に取り組む必要があり、吉野町長で代々、山守の家系である中井(章太)さんに奈良県の林業についてお話を伺いました。奈良県の林業の課題について知ったことで、新しい店舗にはなるべく奈良県産材を使用して、地域の方に吉野杉に触れ合っていただく場を作ろうということになりました。
また、今年3月、吉野町に地域共生型宿泊施設 「MUJI room SAKAMOTOYA」がオープンしましたが、その客室の内装にも吉野杉がふんだんに使用されています。
吉野杉100%で作られた「集いの空間」から聞こえる、子どもたちの笑い声
―店舗の中央部分に売り場ではなく、吉野杉で作られたスペース「Open MUJI」を設置したのにも理由があるのですか。
2,500坪という広い敷地には、自然に人が集まる場所が必要だと考えました。店舗の中央部分にある高さ8メートルの天窓から自然光が入る場所に、店内を歩いている人が自然に集まってくるような待ち合わせ場所がほしい。さらに地域としてファミリー層が多いことも想定して、お子さんの遊具があればいいなと企画したのがはじまりでした。ここではお子さんに五感を使って遊んでいただくことを意識して、鳩時計や木のおもちゃでも音が出るものをたくさん取り入れました。子どもたちの笑い声や遊ぶ音が聞こえてにぎわいを感じるような、人がいる雰囲気を感じてもらえる空間になればと思います。



この「Open MUJI」は100%吉野杉で作られているんですと言ったら、みなさん驚かれますね。『奈良県は林業が盛んで、「吉野杉」という言葉は聞いたことあるけれど、実際に触れる機会は無かった。このお店で初めて吉野杉を触りました。』というお客様の声を聞くと、吉野杉を使ってよかったなと思います。
奈良の木に出会える、魅力いっぱいの「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」へ
広大なエリアの中に、サステナブルな社会の実現への取組が随所に表れた「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」。地域の特徴を活かしてリニューアルされたショッピングモールは、買い物を楽しむ場としてだけでなく、地域に根ざした人々の交流の場としてこれからも多くの人に親しまれていくことでしょう。
5月4日(日)には、「Open MUJI」横スペースで、吉野町長・中井章太さんも登壇するトークイベントが開催予定です。
(詳細は「無印良品」公式WEBサイトのイベント情報
https://www.muji.com/jp/ja/shop/046572/articles/events-and-areainfo/events をご確認ください)
「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」に足を運んで奈良の木の魅力をぜひ体感してみてください。
木の温もりがあふれ、人が集まる場所へ——西日本最大級のショッピングモール「イオンモール橿原 ウエスト・ビレッジ」で出会う奈良の木
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