ARCHITECTURE
5階建ての木のビルから、未来が広がる
ぷろぼの福祉ビル
Fellow Ship Center
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障がいのある方に、安心の職場環境を。
願いを叶えたCLT工法の木造ビル
障がいのある方が自立した生活を送れるよう、職業訓練や職場定着などの支援活動を行う社会福祉法人ぷろぼの。「障がいのある人たちが、安心して働くことができる職場環境を提供したい」という理事長の想いから、5階まである活動施設を木材で建てることになりました。しかし、木造のビルをつくるには、欧米よりはるかに厳しいといわれている耐火・耐震基準をクリアする必要があり、そのハードルが高いため、木造ビルは全国的にも数が少ないのが現状です。どうやってこの課題を解決すればいいのかを考え、狭い敷地に建てても部屋を効率良く使えるように「CLT(Cross Laminated Timber)」という木質材料にたどりつきました。木の板の繊維方向を互いに直交するよう重ねて接着した厚型のパネルのことで、断熱性に優れ、高い耐震性を確保することができるのです。ヨーロッパでは木造の高層ビルなどによく用いられていますが、日本ではまだあまり一般的ではなく、CLT工法の木造ビルの実現は、施設の方や建築士、施工業者…すべての人にとっての「挑戦」でした。
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自然の中でイキイキと生きていく。
木が生み出す、たくさんの可能性
構想から2年後の2016年7月、奈良県奈良市の新大宮駅付近に「Fellow Ship Center」と名付けられた奈良の木を使った木造ビルが完成しました。建築基準法上の条件から、1階の構造は鉄筋コンクリートですが、壁や机、イスなどにはふんだんに木が使われています。また、職業訓練所やセミナールームのある2〜5階は、壁や柱にCLTを用いて造られています。部屋へ入るたびに驚かされるのは香りと温度。新鮮なスギの香りが心地良く感じるのに加え、高い断熱性能を有する木質空間にしたことにより、快適な空間となっています。冷暖房のストレスなどを極力排除した「やさしく安心な環境」が、障がいのある方の心と身体をより良い状態にし、その人らしく暮らす一助となっているのでしょう。
この施設の名称でもある「fellowship」は「仲間であること、共に助け合うこと」を意味しており、ここは障がいのある方だけではなく、若い起業家、働く母親、地域の高齢者など、誰もが仲睦まじく寄り添いあえる場所としての役割も担っています。たとえば1階の食堂は誰でも利用できますし、奥には音楽ライブができるステージもあります。5階のセミナールームでは定期的に若手の起業家の講習会などのイベントも行われています。この施設は、「木造ビル」という木造建築の新しい可能性を示しただけではなく、さまざまな人々が触れ合う地域のコミュニケーションの可能性も広げていきます。
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VOICE FROM
きっと最高の職場環境だと思う
〔社会福祉法人ぷろぼの 施設職員〕
木に囲まれている環境に慣れたいまでは、壁がコンクリートになっているほかの施設に行くと、何となく閉塞感があります。Fellow Ship Centerの外壁は、5層7プライのCLTを使用し、仕上げを含め厚さ約40cm。冬はストーブをつけているとあたたかさが逃げないので、午後になったらスイッチを切っています。足元まで空気があたたかいんですよ。
INFORMATION
社会福祉法人ぷろぼの
ぷろぼの福祉ビル Fellow Ship Center
ADDRESS
奈良県奈良市大宮町3-5-41