About
奈良の木とは
いのちの美しさを、感性に訴える空間に
奈良の木の美しい木目ややさしい色合いを、建物の一部に用いると
周囲に自然なぬくもりが醸し出され、同時に凛とした雰囲気も感じられます。
感性に響く奈良の木から建築デザインの可能性が広がります。
奈良公園の向かいに建つ奈良県庁は、屋上が開放されていることから観光客も多く訪れる、まさに奈良県の玄関口といえる施設です。玄関ホールでは、壁や天井、手すりに樹齢200年以上の杉と桧が使われ、節のない柾目や均一な年輪が奈良の木ならではの美しさと安らぎを生み出しています。EVホールには、地下1階から6階までのべ2,502本の杉材が水平に並び、隙間から覗くスチールとの対比により素材の魅力が際立ちます。木の自然な表情は来庁者の心を和ませ、奈良の木の文化と心地良さを伝える空間として親しまれています。
住所:奈良県奈良市登大路町30
奈良県大和郡山市にある郡山南学童保育所は、旧理科室から奈良県産材を使った新施設へと建て替えられ、子どもたちが安心して過ごせる明るく開放的な場所となりました。梁や柱、床材など内装のほぼすべてに奈良県産の杉や桧が用いられ、やさしい色合いと清潔感が空間に温かみをもたらしています。子どもたちは木の床に座ったり寝転んだりしながら思い思いに過ごし、自然と木の感触ややわらかさに親しみます。床やドアにできた小さなキズにも目を向けるようになり、モノを大切にする気持ちが育まれているのだそう。奈良の木に包まれた空間が、子どもたちの感性と成長をそっと支えています。
住所:奈良県大和郡山市柳町100(郡山南小学校内)
吉野中学校は、緑豊かな環境を背景に、校舎内の天井や廊下、階段、床などに奈良県産の杉や桧を取り入れた温かみのある学び舎です。なかでも、約100メートルにも及ぶ「ふれあいモール」と呼ばれる桧の廊下は、光と風が通り抜ける開放的な交流の場として親しまれています。さらに生徒たちは入学時に、地元・吉野の桧の天板を使って自分の学習机を組み立て、3年間共に過ごします。卒業時にはその天板を持ち帰る習慣があり、仲間とのメッセージを書き合うこともあるそうです。木と共に学び、思い出を刻むこの学校には、地域とつながる温かな教育の姿があります。
住所:奈良県吉野郡吉野町河原屋200
奈良県橿原市にある、ぽれぽれ白橿コンフォートはエントランスから食堂、廊下に至るまで杉や桧など奈良県産材を用いた温もりあるシニアホームです。木の優しい色合いや香りが空間全体に広がり、入居者に安心感をもたらします。調湿作用によって快適な室内環境が保たれるほか、わずかにたわむ木の床は歩行時の体への負担を軽減します。また、南向きのダイニング兼食堂は、食事やワークショップの場であると同時に、自然と人が集う交流の拠点でもあります。入居者たちは部屋や廊下に植物を飾ったり、外の畑で野菜を育てたりと、木の空間が暮らしに意欲を生む存在になっています。木の香りが「ここでなら安心して暮らせる」と感じさせてくれる、心豊かな住まいです。
住所:奈良県橿原市北越智町321
「障がいのある方が安心して働ける場をつくりたい」という想いから生まれたFellow Ship Centerは、高い耐火・耐震基準を要する中で木造5階建てを実現するという大きな挑戦から始まりました。狭い敷地でも機能的な空間を確保できるよう採用されたのが、繊維を直交させて重ねるCLT工法。断熱性や耐震性に優れた木質パネルにより、安心と実用性を両立した建物が完成しました。奈良市に完成したこの施設では、壁や家具に奈良の木が使われており、杉の香りと柔らかな温度感が心を落ち着かせます。木の空間で過ごすことで、働く人の心身をやさしく支えるだけでなく、地域の人々が集い、交流する場としても機能しています。木の可能性を広げ、人と未来をつなぐ場所です。
住所:奈良県奈良市大宮町3-5-41
写真提供:浅田設計室
設計・監理:浅田設計室
老朽化した体育館の建替を機に、林業が盛んな土地ならではの建築を目指して誕生したシダーアリーナは、構造部分にも木を積極的に取り入れた非常に珍しい木造体育館の事例です。特にアリーナの屋根には、住宅用規格材を二段に格子状に組み、対角線に鉄骨ブレース材を加えることで、軽量かつ耐震性に優れた独自の木構造が採用されました。延べ床面積5,031㎡の空間には、奈良県産の杉や桧など約2,600本が使われ、構造美と木の温もりが共存する大空間を実現。地域の技と材料を活かす「地材地匠」の精神が反映された建築として、スポーツ利用だけでなく、木造建築のショールームとしても全国から注目を集めています。
住所:奈良県五條市上野町246