About
奈良の木とは
いのちの美しさを、感性に訴える空間に
奈良の木の美しい木目ややさしい色合いを、建物の一部に用いると
周囲に自然なぬくもりが醸し出され、同時に凛とした雰囲気も感じられます。
感性に響く奈良の木から建築デザインの可能性が広がります。
地元・奈良県で採れた大和野菜の料理を提供している旬彩酒肴 奈間蔵 栄。しっとりと落ち着いた雰囲気のこのお店は入り口や看板、カウンター、間仕切り柱などに奈良の木が使われており、その艶やかな色味や美しい木目が、憩いの場としての雰囲気をいっそう引き立たせているようです。全体的に木の印象が強いため、お客さまとの会話も自然と木についての話題になるのだとか。おいしい野菜や美しい木を通して地域の魅力を伝える場でもあるこのお店。訪れることによって、地元の方も観光客も、もっと奈良県を好きになるかもしれません。
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 優秀賞
住所:奈良県奈良市大宮町6-2-11
電話:0742-36-7218
本格的なインドの味を楽しめるカリー処 プラーナ。「お客さまに木のぬくもりと癒やしを感じてほしい」という店主のこだわりを反映させた店内を見ると、使用している材木のなんと90%以上が吉野杉です。カウンターやテーブルには1枚ものの無垢材を使用。とくに幅約1mのテーブル板は、樹齢200〜300年ものの見事な木目と色艶があります。来店されたお客さまに、日本人が昔から親しんできた木の本来の良さを知ってもらい、ゆったりとお食事を楽しんでもらうことができるのです。ぜひ、お料理と店全体の雰囲気を味わいに来てください。
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 優秀賞
住所:奈良県奈良市あやめ池南2-1-48
電話:0742-43-3216
東大寺の近くに建つ奈良公園事務所は、奈良公園や春日山を管理する奈良県の施設です。この建物に使われているのは、樹齢80年以上の奈良の木。奈良公園の自然と溶け込むように、外壁は全面がヒノキで覆われており、内装にはスギがふんだんに使われています。事務所に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、壁材に使われているスギの赤身と白身のコントラストの美しさ。そして、スギの心地良い香り。壁や手すりに触れるとぬくもりのあるやわらかな感触が伝わります。さらに施設内には、樹齢約250年の春日杉の輪切り原木の展示も。建物の一部は一般に開放されているので、お近くを通られるときには、ぜひ一度立ち寄ってみてください。
奈良県 県土マネジメント部 奈良公園事務所
住所:奈良県奈良市芝辻町543
奈良県吉野郡の山のふもとに建つ野迫川中学校。平成27年に新校舎が完成し、保育所が併設され、隣接する小学校校舎と渡り廊下でつながり、園児から中学生までが交流できる学校として生まれ変わりました。このちょっと珍しい中学校は、床、壁、天井、机にいたるまで、学校中がスギやヒノキなどの奈良県産材。木のぬくもりを身近に感じるあたたかな環境で、いろんな交流を経験し、伸びやかに育ってほしいという願いが込められています。学校内で部活動や給食を通して異校種が触れ合ったり、保育所スペースでは、放課後、学童の場所として小学生が園児と一緒に過ごしていたりとさまざまな交流が盛んです。奈良の木に囲まれた学校でたくさんの仲間と過ごした日々は、きっと彼らの一生の思い出になることでしょう。
奈良県 野迫川村立野迫川中学校
住所:奈良県吉野郡野迫川村北股51
2019年に完成した国立競技場は、「杜のスタジアム」というコンセプトのもと、周辺の豊かな自然と調和する建築として誕生しました。外周の軒庇には47都道府県から調達した木材が用いられ、それぞれの産地の方位に合わせてスタジアムの全周に配置されています。日本全国の木材を使用することで、自らの地域に思いを馳せたり、日本の自然の豊かさを感じられる空間となっています。その中でも奈良県産材は、国内外の賓客を迎えるVIP・VVIPエントランスやラウンジの内装に使用されています。節が少なく美しい色艶をもつ吉野杉が、伝統的な大和張りの意匠と調和し、上質な和の空間を演出。世界に誇れる日本らしいスタジアムとして、国産材、そして奈良の木の魅力を発信し続けています。
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1
写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター
参考文献:独立行政法人日本スポーツ振興センターホームページ及び「国立競技場について」
新建築2022 3月号別冊「JAPAN NATIONAL STADIUM 国立競技場」
2020年に開業した奈良県コンベンションセンターは、東大寺や平城宮跡など世界遺産に囲まれた古都・奈良の中心地に位置し、県内最大の会議場・観光交流拠点として整備されました。正倉院の校倉造りや寺社の回廊をモチーフとした意匠が随所に取り入れられ、奈良時代の文化を感じられる空間となっています。館内には奈良県産杉が多く使われており、天平広場の大屋根にはハイブリッド構造による杉集成材を採用。ホールや会議室、ホワイエにも木の温もりが広がります。こうした奈良の木の活用や県内作家とのコラボレーションが評価され、2020年12月には「ウッドデザイン賞2020優秀賞(林野庁長官賞)」を受賞しました。
住所:奈良県奈良市三条大路一丁目691-1