ARCHITECTURE
古都・奈良の世界遺産に囲まれる県内最大の会議場・観光交流拠点
奈良県コンベンションセンター
校倉造りをイメージした外観、寺社の回廊をイメージした列柱
訪れた方に奈良時代の文化を感じさせる
県内最大の会議場・観光交流拠点
東大寺や平城宮跡、薬師寺など世界遺産に囲まれた「古都・奈良」の中心地に県内最大の会議場・観光交流拠点が2020年4月1日にオープンしました。地上2階、地下2階建て、延べ床面積約3万5000平方メートルもの広大な敷地内には、2000人収容可能なコンベンションホールをメインとしたコンベンション施設や、観光インフォメーション、県産品の販売、飲食施設を備えた観光振興施設が設けられています。
正倉院に代表される校倉造りをイメージした外観、寺社の回廊をイメージした列柱(丸柱)、正倉院宝物に描かれている文様をあしらったホールの座席など、奈良時代を象徴する「天平文化」をモチーフにしたデザインが随所にちりばめられています。
本施設には、奈良の木がふんだんに使用されており、効果的かつ多様な奈良の木の使い方が試みられています。このことが評価され、2020年12月には「ウッドデザイン賞2020優秀賞(林野庁長官賞)」を受賞しました。
正倉院宝物に描かれている文様をあしらったホールの座席
天平ホール
様々な意匠で
奈良の木に包まれる大空間
コンベンションセンターを訪れてまず目を引くのが、「天平広場」の木の大屋根。木部分は杉集成材が用いられ、鉄骨造により長スパン化を図りながら、高い圧縮剛性を持つ木材を補剛材として活かしたハイブリッド構造により、木を活かした広い空間が実現しています。
天平広場
2F会議室
コンベンション施設には、約2,100平方メートル、天井高さ約10メートルの広々とした「コンベンションホール」と中小の会議室が備わっており、様々な会議や展示会、イベントの会場として使用することができます。
メインとなるコンベンションホールをはじめ、天平ホール、中会議室の壁面や扉の取っ手に奈良県産の杉が使用されています。
コンベンションホール
壁面アップ
会議室前の廊下やホワイエの壁面や天井ルーバーにも木材が使われ、温かみを感じる空間を演出しています。
1Fホワイエ
2階ホワイエ
県内作家との
多様なコラボレーション
奈良県コンベンションセンターの随所で、奈良県を拠点に活動する作家や工房の作品を見ることができます。
まず、1階エントランスには、ガラス板に吉野杉皮の和紙や吉野桧の鉋くずを一枚一枚手作業で貼り合わせ、後方から照明を当てている「光壁」(あかり工房 吉野)が。また、その側には、サンドペーパーを使わず、吉野杉を鉋(かんな)で仕上げたベンチ(下市木工舎 市ichi)が設置されています。
2階ホワイエには、天然一枚板を座面とし、それに合わせて背板を曲げているベンチ(studio Jig)が。背板は吉野杉の薄い単板を何枚も重ね、積層し圧着した板をフリーフォームラミネーションと呼ぶ特殊な三次元曲木を用いて製作されています。
さらに天井を見上げると、吉野杉の年輪に刃を入れて一枚一枚、手で剥いで材を取った「面皮(めんかわ)」を使って製作された天井アート(花井慶子 氏)が目を引きます。
この他にも、廊下やトイレ、バス待合所など、施設の至るところで数多くの作品を見ることができます。
1階エントランス
2階ホワイエの天井
VOICE FROM
〔奈良県観光局MICE推進室〕
2020年4月の開業以来、会議や学術会議だけでなく、展示会、式典、試験やコンサートなど多種多様な催事に利用されています。国内のみならず海外からの利用者からも奈良の木の温かみと洗練されたデザインについてご好評をいただいており、今後益々人々の賑わいと交流の拠点として発展していくことを期待しています。
INFORMATION
奈良県コンベンションセンター
ADDRESS
奈良県奈良市三条大路一丁目691-1