ARCHITECTURE
木に囲まれ、子どもは成長する
郡山南学童保育所
子どもたちに快適な居場所を。
奈良の木を使って、広く明るい建物へ
バタバタと響く足音と、子どもたちの楽しそうな笑い声。奈良県大和郡山市立郡山南小学校に併設する郡山南学童保育所には、学校の授業が終わった後、全学年から約40人の児童たちが集まり、保護者が迎えに来るまでの時間を過ごします。もともと学童保育所は、郡山南小学校の理科室を改装した部屋で運営されていましたが、当時はコンクリートに木の板を敷いただけで、冬は床がとても冷たかったそうです。このような環境の改善と学童保育所に入所する児童の増加に対応するため、新たにこの郡山南学童保育所がつくられました。この建物を支える梁、桁や床材などの内装には、すべて奈良の木が使われています。清潔感がありやさしい色味のおかげで建物全体が明るく感じられ、晴れた日は木の色味がとくに映えて、とても開放感のある居心地の良い場所になります。学童保育所がまだ理科室にあった頃の卒業生からは「この建物で過ごしたかった」という声もあるそうです。
木に触れる中で
何かを感じ、育ってくれるように
郡山南学童保育所は建物の両端に和室がありますが、子どもたちは自然に木の床の上に集まります。木の心地良さを感じているのでしょうか。床に寝転がっておもちゃで遊んでいる子や、素足で活発に動き回っている子、床にそのまま座って本を読んでいる子など…それぞれが楽しそうな顔で、木に触れながら、思い思いに時間を過ごします。誰も座布団を使わないのは、木がやわらかく、座っていると次第にあたたかくなるからだそうです。また、子どもたちは木の床やドアのキズや汚れをよく見ています。大切に扱わないとキズついてしまうということを自然と学んでいるようです。木に囲まれたやさしい空間が、子どもたちの感性を育んでいるのです。
VOICE FROM
木の空間に成長の願いを託して
〔大和郡山市 職員〕
室内の部材はクリア塗装などの表面加工処理をしておらず、あえてキズがつきやすい・キズが目立ちやすい状態となっています。これは木のもつ自然の風合いを生かしたいという想いに加え、子どもたちにモノを大切にする心を育んでほしいという願いもあってのことです。デリケートなモノに日頃から触れることで、人に対してもやさしく接する大人へと成長してほしいと願っています。
INFORMATION
郡山南学童保育所
ADDRESS
奈良県大和郡山市柳町100(郡山南小学校内)