食べて美味しい!見て楽しい!奈良の木を体感できる最新のお出かけスポット4選
吉野桧のハイチェアに座り、奈良県の食材を使ったビストロ料理に舌鼓を『LA PIE(ラピ)』
古い町屋が並び、観光客にも人気の奈良市・ならまちエリアに2023年8月にオープンした、フレンチビストロ『LA PIE(ラピ)』。フランスで修行を積み、ミシュラン星を獲得した、奈良県出身のオーナーシェフが、奈良県産の食材を積極的に使ったビストロ料理を提供しています。
オープンキッチンに面したカウンター席は、シェフの調理風景を間近で眺めることができる、ライブ感溢れる特等席。カウンター席のハイチェアは、奈良県東吉野村にある椅子専門の木工所「維鶴木工」にオーダーし、吉野桧で作ってもらったもの。美しい木目や柔らかく滑らかな手触りは、上質な吉野桧ならでは。心地よい香りと穏やかな温もりを体感することができます。
ハイチェアは高い強度が求められる家具ですが、針葉樹である桧を使ってスタイリッシュなデザインで実現できたのは、職人の高い技術と、目が詰まっていて強度がある吉野桧の魅力。使えば使うほどに味わい深くなり、経年変化の美しさを楽しませてくれるのも吉野桧の特徴。年を重ねるごとに異なる色合いをお店の雰囲気とともに楽しみたいですね。
そんな店内でぜひとも味わいたいシグネチャーディッシュは、魚介の旨みを濃縮した「ブイヤベース」。フランスで16年過ごしたシェフの自慢の一皿です。美味しい料理と木の魅力を求めて何度でも訪れたくなる空間に足を運んでみませんか。
小麦をテーマにした吉野杉のオブジェを見ながら、噛むごとに味わい深いパンを頬張る『西山荘別邸』
医食同源をコンセプトに、防腐剤や添加物は一切使用せず、安心安全な“生きているパン”(天然パン)を提供する、奈良県奈良市のパン工房『西山荘別邸』。噛むごとに味わい深い、飽きのこない美味しいパンを標榜し、このお店でしか味わえないパンが日々丁寧に作られています。
特におすすめは、奈良県産ひのひかりの米粉を配合したヘルシー食パン「石窯ハードトースト」。中はもっちり、外はパリッと香ばしく焼きあがっており、多くの人に愛されています。また、食物繊維豊富なライ麦を加えたカンパーニュや玄米パンなどの体に優しい食事パンも好評です。
そんな『西山荘別邸』のイートインスペースでひときわ存在感を放つのは、パン作りの一番の主原料である小麦をテーマに、収穫後のはさ掛け(逆さ吊り)した小麦を表現したオブジェ。こちらは、奈良県川上村在住の木工作家 平井健太さん(studio Jig)が、吉野杉を使って製作したもの。
豊穣・豊かさの象徴でもある、小麦がはざ掛けされた風景を、吉野杉の風合いとその曲線美が見事に体現しており、素材を大切にするお店のコンセプトが伝わってきます。このオブジェは、作者の平井さんがアイルランドで修得した「フリーフォームラミネーション」と呼ばれる特殊な技術が活かされています。
薄い単板を何枚も重ね、積層し圧着した材を使って、三次元のうねりをつくるこの技術には、節のない長尺の木材が必要で、吉野杉だからこそ生まれた作品です。黄金色に輝く収穫期の麦畑に思いを馳せながら、“生きているパン”を堪能してみませんか。
吉野山唯一のうなぎ店で、 透かし彫りのメニューに魅せられる『うなぎ屋 太鼓判』
愛知県一色産の国産鰻にこだわる、吉野エリア唯一のうなぎ店『うなぎ屋太鼓判』。同店で使用するのは、全国有数のうなぎの産地で知られる愛知県西尾市一色町の「一色うなぎ」。うなぎの頭・腹びれ・背びれを取り除き、串を打ち、白焼きまでの下処理をした後、丁寧に焼き上げます。タレは三河みりんと地元吉野町の尾上醤油店の醤油を使用。お米は奈良県産ひのひかりを使うなど、奈良の大地の恵みを存分に活かした鰻料理を楽しめます。
そんな『うなぎ屋太鼓判』の店内では、随所に吉野杉の魅力を感じることができます。壁やテーブルのおしながき、カウンターに置かれたメニュー表は吉野杉で作られています。特に、壁のおしながきは、「吉野杉の透かし彫り」で作られている特別なもの。吉野杉の透かし彫りは、木目が緻密でまっすぐな吉野杉の特性を活かし、 熟練の職人技術によって作られる 奈良県黒滝村の伝統工芸品です。
やわらかい夏目と固く締まった冬目が交互になった柾目(まさめ)板に、細かい砂を吹き付けることで、夏目が透かし抜かれ、冬目だけを残して文字や絵柄を描いていきます。『うなぎ屋太鼓判』のおしながきは奈良県下市町の木工アーティスト 花井 慶子さんがデザインし、黒滝村森林組合によって製作されました。ひとつひとつ木の表情が異なる美しい透かし彫りを眺めながら、鰻が焼き上がるのを待つ時間も特別なご馳走です。
床に吉野杉を敷き詰めた、 カラダにも心にも優しいベーカリー『さくらパン工房』
世界遺産の平城宮跡が広がる、奈良県奈良市四条大路にあるベーカリー『さくらパン工房』。国産小麦を使用し、無添加生地で作る、子どもからお年寄りまで安心して召し上がれるパンは、近隣の人をはじめ、多くの人たちに愛されています。ラインナップは、カラダにやさしい天然酵母パンや、子どもに大人気のメロンパン、焙煎玄米生地を使用した玄米塩バターロールなど約30種類。丁寧に作られたパンは、どれも香り高く、味に深みがあり、小麦本来の味を楽しむことができます。
パンの素材にこだわる『さくらパン工房』は、店舗の内装にもこだわり、床材には吉野杉の無垢材が使用されています。床に吉野杉が敷き詰められた店内は、ほんのりと木の香りがし、パンの香りと相まって食欲をそそられます。また、同店で働くスタッフによると、長時間仕事をしていても腰に負担がかかりにくく、身体にもやさしいそうですよ。お店を訪れたら、美味しいパンとともにぜひ吉野杉の床にも注目してみてくださいね。
家具やオブジェ、そしておしながきに床材まで、さまざまな用途で、奈良の木が活かされているお店はいかがでしたか?木のぬくもりを感じる空間で食事や買い物をすると、美味しいものがもっと美味しく感じられますよね。食欲の秋、美味しさと癒しを求めてぜひ訪れてみては?