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2026.03.04(更新日)

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?
あなたは「理想の住まい」と聞いて、どんな家を思い浮かべますか。住まいづくりに求められる価値は年々多様化しています。とくに近年は、新築住宅への省エネ基準適合の義務化などの動きを背景に、国産材や地域産材などを活かした住まいへの関心が高まりつつあります。

奈良県は、吉野杉・吉野桧に代表される、年輪が緻密で節が少なく、強度に優れ、色艶の美しい建築材に適した優良材の産地として広く知られてきました。県内には、吉野材にこだわった住まいづくりを積極的に行っている工務店もあるほどです。

今回は、奈良県産材を取り入れた家で暮らす廣瀬さんを訪ね、建て替えを経て感じている日々の心地よさや、奈良の木とともにある暮らしについて話をお聞きしました。

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

暮らしの違和感から始まった「理想の住まい」づくり

―― 住まいを見直そうと考え始めた、きっかけは何でしたか?

以前の暮らしの中で、自分たちの生活に合っていないと感じる場面が増えてきたことが、きっかけです。私は約十年前に、建売住宅を買って大阪から奈良へ引っ越してきました。私と妻と子どもの3人家族で住みやすく、勤務先である大阪へ通いやすいこと。また、子どもを育てる環境も考えてのことでした。マイホームを持つにあたってまず重要な土地選びについては、この時点ですでに終えていたので、周辺環境については悩む必要はなかったのですが、建売住宅でしたので、自分たちにとってあまり使い勝手が良い家とは言えませんでした。動線が悪かったり、ライフスタイルに沿わなかったりしたことで、気づけばイライラしていることも多くありましたね。

私は海外での仕事が多く、中国には2回の転勤も含め合計11年在住、タイにも3年ほど在住したこともありますし、日本での勤務も1か月のうちの半分は海外に滞在する日々。その時の住まいは高層マンションやホテルでした。一方で、学生時代にはカナダで木の家に住んでいたこともあって、マイホームを持つ時は戸建てで木の家が良いという思いは以前からありました。

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

▲廣瀬さん

そんな中、50歳を前にして第二の人生が頭をよぎった時、そろそろ自分にとって、また家族にとっての理想の住まいを考えてみたいと思うようになりました。これは一例ですが、私は毎朝シャワーを浴びるんですね。それが、冬だと寝室のある2階から1階へ行くのも寒くて困る。なんとか快適に朝を迎えられないものかと思ったことも理由のひとつです。最近の住宅は長持ちしますから、10年後にするよりもタイミングとして今が良いだろうし、住宅ローンのことも考えても50歳前の今が良いのではと、家族とも相談をして建て替えを決意しました。

―― 廣瀬さんにとって、建て替え前に思い描いていた理想の住まいとは、どんな家でしたか?

理想を細かく言えばかなりありましたが、譲れなかったのが「木を使うこと」と「全館空調」でした。木を使うことについては、合板とかではなく1本の木から切り出した純粋な天然木の無垢材が良いと思いました。また、全館空調は1台の専用機器で廊下や洗面所に至るまでの家中の温度・湿度を24時間一定に保つ冷暖房換気システムです。ヒートショックのリスクを低減し、快適な室内環境が作れるシステムですが、この全館空調にもいろんなメーカーや方式があることを知り、どれがいいのか悩みました。

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

―― 理想の住まいを思い描いたあと、家づくりはどのように進めていきましたか?

この二つの希望以外にもいろいろ夢を頭の中に描きながら、次にしたのは一般的ですが、住宅展示場を何軒かまわったことです。10社くらいのハウスメーカーを見て回りました。それぞれに得意分野が違うということも知りましたし、学ぶことが多かったですが、こちらの自由がきかないと感じる部分もありました。ちょっとしたことでもハウスメーカー側に合わせるのであれば、何のために建て替えるのかわからないし、私たちの理想の住まいにはならないと感じて、今度は奈良県内の工務店を探しました。モデルルームなども何軒か見に行きましたが、なんかしっくりこなくて。インターネットで調べて生駒郡の工務店『家族の森』を見つけました。地元材である吉野材にこだわっていたり、2種の全館空調が選べたりと理想的で、注文建築を得意とされている点が決め手となり、問い合わせしてみました。

このときには、さまざまな建築のプロと話をして、住宅の知識もありましたから、お話をしてみた反応で、私たちが考える理想の住まいを実現できる工務店として合うか合わないかは、判断できるようにはなっていたと思います。木の家や全館空調が良いなど、どんな家づくりを私たちが望んでいるのかを話してみて、電話口のスタッフから理想の住まいづくりに寄り添うように考えていただきアドバイスももらえたので、実際に工務店へ行き、施工をお願いしたことから始まりました。

「木を使う」ことから広がった、暮らしに合う住まい

―― 敷地条件もある中で、設計はどのように進めていきましたか?

敷地面積は、玄関や駐車場、庭も含めて約202㎡。設計するうえでまず注意すべき点は、電力会社の鉄塔敷地と隣接していることでした。建物の高さや構造に厳しい制限があるので、それをクリアした設計が必要。建て替え後の間取りは、1階が玄関、リビング、キッチン、トイレバスなど水回り。2階は子ども部屋、主寝室、書斎、セカンドリビングです。

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▲玄関

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▲リビング・キッチン

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▲吉野杉を天井に使用した2階の主寝室

私はゴルフをするので玄関には納戸になる大きめの収納が欲しかったり、妻からは子どもがお手伝いできる広めのキッチンの希望がありました。それ以外にも家族3人の洋服などが収納できる大きめのウォークインクローゼットに、バーベキューと家庭菜園ができる庭も。2匹のネコのご飯スペースを飼い主にもペットにも快適な配置にしたいと考えていました。

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▲階段裏に設けた、ネコのご飯スペースにつながる専用通路

また、吹き抜けのあるリビングが理想で、これは建売だった前の家が暗く、光の入り方も不満があったのでマストでお願いしました。今回は、工務店がどんなふうに光が入るのかをしっかりと調べてくださった上での設計だったので、自然光が入る明るい家になり、心地よく過ごせています。

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▲2階のセカンドリビング

―― 今回、奈良の木、とくに「吉野材」を選んだ理由を教えてください。

木を使うことは決めていましたが、値段のことも考えると奈良の木を絶対に使いたいと最初から思っていたわけではありませんでした。しかし工務店へ初めてお伺いした時に、モデルルームの奈良の木の香りの良さに感動したんですね。見た目も美しくて、1階の床には絶対に吉野桧を使いたいとお願いしました。夏は涼しく冬は暖かいですから、子どもも私も家にいる時は年中裸足です。

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そのほかにも、できるだけ吉野杉を使いたいとお願いして、天井や2階の床、吹き抜けの柱にも無垢材を使用しています。また、補強柱など一部、吉野杉の化粧張りのところもあります。友人などが遊びに来た時なんかは、ちょっと自慢したりしています。

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―― 壁の中や床下など、見えない部分にも天然乾燥の吉野桧が使われているそうですね。

全館空調にしているので、見えない部分から冷暖房された空気を送り出す吹き出し口が床にあります。新築当時は特に、そこから吉野桧の香りがしてくるのも心地よかったです。私も奈良県内の工務店をいろいろ回った時に、吉野桧について学びましたが、天然乾燥は、木材になるまで平均して半年から一年くらいと時間がかかって、より強い材木になるそうですね。人工乾燥が決して悪いわけではありませんが、木にストレスを与えずに水分を抜き木材にしていくのは自然に優しく良いことですよね。

―― 木材の活用はもちろん、コスト面については、どのように検討を進められたのですか?

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

▲自然エネルギーを活かした設計のもと、小屋裏に設置された全館空調システム

太陽光パネルを設置したり、断熱性能を高めるなど、ランニングコストのことも考えました。その他、工務店からは奈良の木を使用した住宅助成事業など、さまざまな助成金の紹介もしていただきました。

―― 建て替えから約1年半が経った今、あらためてこの住まいについてどう感じていますか?

毎日生活をしていると、ちょっとしたことが気になるんですよね。エアコンからの風が顔や体にあたることとか、無骨な鉄筋とか、壁紙とか、カーテンのでっぱりが気になるとかいろいろ出てきます。だからこそ、機能性とシンプルであることを重視して、自然素材に囲まれた家を望んでいました。何より暑さや寒さという温熱環境は、日常感じる大きなストレスのひとつだったので、それをクリアにできたことは大きいです。また、出張の多い私としては、日本・奈良という土地に住まうことの意味を感じたい。今では、奈良の木の魅力を日々の暮らしの中で実感しながら、吉野桧や吉野杉を住まいに使えたことに誇りを感じています。

奈良の木と暮らす選択。こだわりを重ねた“建て替え”で見つけた住まいの心地よさとは?

これからの人生を考えて建て替えられた終の棲家。廣瀬さんは「何も気にならないことが快適につながっている」と満足されています。ストレスを感じない理由は、一歩家に入ると木の香りがすること、朝シャワーを浴びることから始まる毎日のルーティンでの快適さ、空調の風が気にならないこと、休日を思いっきり楽しめることなど数えたらきりがないほど。なにより「家に居る時間が増えた」と話されていることが、その証拠です。

静かな住宅環境にあるご自宅は、吉野杉や吉野桧を使った優しい雰囲気の中に計算された機能性と、シンプルで無駄のないデザイン性も併せ持っています。とくに吉野桧の柱がむき出しの吹き抜け空間の明るいリビングはリラックスできる癒しの空間。天井と床に吉野杉が使われた寝室は、香りも手伝い快適な眠りを誘うスペースになっています。

理想の住まいのイメージは人それぞれです。まずは、自分の生活スタイルに適した家とは何かについて考えてみるといいかもしれません。

INFORMATION

県産材を使用した住宅助成制度

奈良県産材を使用して住宅の新築・増改築・リフォームを行った施主に対して助成する制度。助成金額は、使用目的、使用木材(奈良県産JAS材 、奈良県地域認証材 、奈良県産材)の種類によって異なる。令和8年度からは、県内の住宅について構造材、内装材に加えて外装材も対象に追加。組み合わせにより、最大101万円の助成を受けることが可能(構造材5㎥以上、内装材20㎡以上両方に奈良県産JAS材を使用した場合)。

※令和8年度の制度の詳細については、4月下旬頃に県産材利用推進課HPで公開予定です。

問い合わせ先 奈良県環境森林部県産材利用推進課
TEL 0742-27-7476
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