「素材」としての吉野杉の魅力に迫る。『GINZA SIX』のアートプロジェクト「A Tree」が始動
「A Tree」は、家具や建築の「素材」の魅力に焦点を当て、「ものづくりの本質は何か?」という原点に立ち戻り、プロダクトやアート、そしてカルチャーの魅力をひもとくプロジェクトです。
見どころのひとつは、奈良県吉野地域で産出される「吉野杉」に着目していること。今回は、本プロジェクトでどのように吉野杉が表現されているか、ご紹介していきます。
独自の育林方法によって育まれた「吉野杉」
約500年前の室町時代から現代に受け継がれている「吉野林業」。その独自の育林方法によって育まれた吉野杉は、年輪が緻密で強度に優れ、美しい赤みを帯びた中心部の色合いが特徴です。本プロジェクトでは、そうした吉野杉の素材としての真価を、実際に触れて体感できる機会となっています。



奈良県下市町の『豊永林業株式会社』と『株式会社大谷木材』が手がけたファニチャー
まず、ご紹介するのは、『GINZA SIX』館内の3F~5Fの中央吹き抜け空間に隣接するレストスペースにあるファニチャー。この作品を手がけたのは、吉野林業地域で1500ヘクタールもの山林を管理している『豊永林業株式会社』と、県産材を中心に素材の魅力を活かした品質の良い木材を生産している『株式会社大谷木材』。両者の専門的な知見と技術により、吉野杉の美しい木目や強度といった特徴が最大限に活かされ、空間に温かみと品格をもたらす作品となっています。

Photo by Yasuyuki Takaki

Photo by Yasuyuki Takaki

Photo by Yasuyuki Takaki
屋上庭園内に並ぶ202個の吉野杉の丸太
また、屋上庭園内の「ROOFTOP ART PARK」には、美しさと強さを同時に兼ね備えた202個の吉野杉の丸太を並べた光景が広がります。年輪の幅が細かいことから狂いが出にくく、丈夫な吉野杉ですが、これらの作品には、すべて「背割り」という、乾燥による材面割れを防止・軽減させるための製材工法が施されています。

Photo by Yasuyuki Takaki
夜はこの「背割り」を用いた演出で、吉野杉の割れ目から光が放たれ、幻想的な景色に。銀座の地に突如現れた500年以上続く吉野の森を肌で体感できる貴重な機会にぜひ足を運んでみてください。

※照明演出は18:30 ~ 23:00の間、毎時 00分/15分/30分/45分の間隔で行われます Photo by Yasuyuki Takaki

Photo by Yasuyuki Takaki

Photo by Yasuyuki Takaki
今後、本プロジェクトでは、国内外で活躍する6組のアーティストによる吉野杉を使用したプロダクトを2025年秋以降に順次展開する予定とのこと。それぞれのアーティスト独自の解釈を通じて、 ⼀本の木 (約20m)をまるまる使った家具や⼩さな建築が製作されるそうです。吉野杉の素材としての魅力をたっぷり感じられる「A Tree」のこれからの動きにぜひ注目してみてください!
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