About
奈良の木とは
奈良の木の美しい木目ややさしい色合いを、建物の一部に用いると
周囲に自然なぬくもりが醸し出され、同時に凛とした雰囲気も感じられます。
感性に響く奈良の木から建築デザインの可能性が広がります。


ARCHITECTURE
住所:奈良県奈良市三条本町1082 奈良市総合観光案内所
電話:0742-25-3820
洋風建築と寺院を組み合わせたようなユニークな外観のJR奈良駅旧駅舎。近代化産業遺産に指定されているこの建物の一角に、スターバックス コーヒーJR奈良駅旧駅舎店があります。地域とのつながりを大切にしていきたいという想いを込めて、地元奈良県産のスギ材が使われています。たとえば、テラス席からよく見える入口のプレート、店内のフロントパネル、壁面のアートワークなど…。その中でもとくに注目したいのは、バーカウンターのフロントパネル。木材のやわらかい部分を特殊な加工でへこませ、木目の凹凸を浮き立たせる「浮造り」という技法でつくられており、味わい深い雰囲気を演出しています。このような奈良の木特有の美しい木目の陰影、やさしい色味、そしてほのかなスギの香りが、コーヒータイムをよりすてきな時間にしてくれます。


ARCHITECTURE
第2回「奈良の木の家」コンテスト 新築部門 最優秀賞
設計業者・施工業者:株式会社スペースマイン
奈良県産材納材業者:十津川村森林組合
玄関から家の中に入っていくと、床やドア枠、階段などいたる所から、やさしい色味が目に飛び込んできます。「地産地消の家づくり」を理念に掲げた住まいには、一邸まるごと奈良の木が使われています。リビングの梁には太くて立派な木を用いて吹き抜け空間を印象的に。格子や建具、壁材には節のない木を用いて落ち着いた雰囲気に。それぞれの木が持つ個性を生かして設計された家といえそうです。地元で育った木だからこそ、その土地の風土に合う住まいをつくることができる。そんなつくり手の信念が木の魅力を引き出し、暮らしをもっと良いものにしてくれているのかもしれません。


ARCHITECTURE
第2回「奈良の木の家」コンテスト リフォーム部門 最優秀賞
設計業者・施工業者:株式会社和
奈良県産材納材業者:十津川村森林組合
広々としたワンフロアの大空間。そのリビングの真ん中には、梁から吊るされたブランコが2台設置されています。実はこのお宅、築160年という長い歴史をもつ古民家でした。その味わいを残したまま家を再生させたいというお施主さまの意向を叶えるため、構造材や造作材、補強材などに奈良の木をふんだんに使いました。たとえばフローリングに色味のやさしい奈良の木を使うことで、部屋全体が明るく仕上がりました。新たに奈良の木を使うことで、木の色の違いが強調され家の歴史を目でわかるようにもなりました。古い木と新しい木の融合により、懐かしさと新鮮さを感じられるこの家は、これから先もずっと家族の歴史を紡いでくれるでしょう。


ARCHITECTURE
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 準グランプリ
住所:大阪府高槻市松が丘2-4-28
電話:072-628-2748
大阪府高槻市の閑静な住宅街に佇むコーヒーショップ。外装全体には奈良県産の杉板が使われており、見た目はまるで一株の木のようです。吉野杉は節が少ないので、全面に木板を用いても美しい風合いを出せるのだとか。また、内装にも木へのこだわりが詰まっています。喫茶スペースである2階へ入り、まず目に飛び込んでくるのは、ダイナミックにデザインされた桁と垂木。吉野杉の特長である赤みを生かすことで、店内全体の印象を明るいものにしています。さらにチークの床板、タモのカウンターなどほかの地域の木材もバランスよく取り入れ、木の統一感が店内を落ち着いた空間にしてくれています。木のぬくもりを感じられる、豆増でおいしいコーヒーをお楽しみください。


ARCHITECTURE
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 準グランプリ
住所:大阪府堺市堺区甲斐町西1-1-27
金融機関というと事務的なイメージがあるかもしれません。しかし、南都銀行堺支店の店内はそのイメージを覆すような、木のやさしいぬくもりが印象的です。吉野杉でできた接客カウンターの腰壁は格子状になっており、色味や木目の異なる表情を一本一本に見ることができます。また間仕切りパネルに施されているのは吉野杉の化粧材。奈良の木特有の凛とした白みと鮮やかな赤み、そしてまっすぐな木目が、清潔感を感じさせます。実は、店内のこだわりは奈良の木だけではありません。お客さま用のイスや2階のカーペットの色をグリーンにして、支店全体で「吉野の森」を感じられるようになっているのです。利用者の方からは「落ち着いていて、待ち時間も気にならない」という声も。銀行に行かれた際は、ぜひ内装にもご注目ください。


ARCHITECTURE
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 優秀賞
住所:大阪府河内長野市本町10-15アダチビル101
電話:0721-53-0385
大阪府河内長野市の商店街の中に、ひときわ目立つ居酒屋があります。主に壁の下地材として使用することが多い胴縁(どうぶち)寸法の木を、内装だけでなく外観にも仕上げとして使うことで、目にした人にインパクトを与えています。そのユニークな店構えから、つい入ってみたくなるような好奇心を引き出されます。また、店内の壁2面や厨房前、客席カウンターにも奈良の木が使われており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。店内にほのかに漂う木の香りが、料理とお酒のおいしさをより一層引き立ててくれています。


ARCHITECTURE
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 優秀賞
住所:奈良県奈良市大宮町6-2-11
電話:0742-36-7218
地元・奈良県で採れた大和野菜の料理を提供している旬彩酒肴 奈間蔵 栄。しっとりと落ち着いた雰囲気のこのお店は入り口や看板、カウンター、間仕切り柱などに奈良の木が使われており、その艶やかな色味や美しい木目が、憩いの場としての雰囲気をいっそう引き立たせているようです。全体的に木の印象が強いため、お客さまとの会話も自然と木についての話題になるのだとか。おいしい野菜や美しい木を通して地域の魅力を伝える場でもあるこのお店。訪れることによって、地元の方も観光客も、もっと奈良県を好きになるかもしれません。


ARCHITECTURE
「奈良の木」の店・宿デザインコンペ 優秀賞
住所:奈良県奈良市あやめ池南2-1-48
電話:0742-43-3216
本格的なインドの味を楽しめるカリー処 プラーナ。「お客さまに木のぬくもりと癒やしを感じてほしい」という店主のこだわりを反映させた店内を見ると、使用している材木のなんと90%以上が吉野杉です。カウンターやテーブルには1枚ものの無垢材を使用。とくに幅約1mのテーブル板は、樹齢200〜300年ものの見事な木目と色艶があります。来店されたお客さまに、日本人が昔から親しんできた木の本来の良さを知ってもらい、ゆったりとお食事を楽しんでもらうことができるのです。ぜひ、お料理と店全体の雰囲気を味わいに来てください。


ARCHITECTURE
奈良県 県土マネジメント部 奈良公園事務所
住所:奈良県奈良市芝辻町543
東大寺の近くに建つ奈良公園事務所は、奈良公園や春日山を管理する奈良県の施設です。この建物に使われているのは、樹齢80年以上の奈良の木。奈良公園の自然と溶け込むように、外壁は全面がヒノキで覆われており、内装にはスギがふんだんに使われています。事務所に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、壁材に使われているスギの赤身と白身のコントラストの美しさ。そして、スギの心地良い香り。壁や手すりに触れるとぬくもりのあるやわらかな感触が伝わります。さらに施設内には、樹齢約250年の春日杉の輪切り原木の展示も。建物の一部は一般に開放されているので、お近くを通られるときには、ぜひ一度立ち寄ってみてください。


ARCHITECTURE
奈良県 野迫川村立野迫川中学校
住所:奈良県吉野郡野迫川村北股51
奈良県吉野郡の山のふもとに建つ野迫川中学校。平成27年に新校舎が完成し、保育所が併設され、隣接する小学校校舎と渡り廊下でつながり、園児から中学生までが交流できる学校として生まれ変わりました。このちょっと珍しい中学校は、床、壁、天井、机にいたるまで、学校中がスギやヒノキなどの奈良県産材。木のぬくもりを身近に感じるあたたかな環境で、いろんな交流を経験し、伸びやかに育ってほしいという願いが込められています。学校内で部活動や給食を通して異校種が触れ合ったり、保育所スペースでは、放課後、学童の場所として小学生が園児と一緒に過ごしていたりとさまざまな交流が盛んです。奈良の木に囲まれた学校でたくさんの仲間と過ごした日々は、きっと彼らの一生の思い出になることでしょう。

ARCHITECTURE
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1
写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター
参考文献:独立行政法人日本スポーツ振興センターホームページ及び「国立競技場について」
新建築2022 3月号別冊「JAPAN NATIONAL STADIUM 国立競技場」
2019年に完成した国立競技場は、「杜のスタジアム」というコンセプトのもと、周辺の豊かな自然と調和する建築として誕生しました。外周の軒庇には47都道府県から調達した木材が用いられ、それぞれの産地の方位に合わせてスタジアムの全周に配置されています。日本全国の木材を使用することで、自らの地域に思いを馳せたり、日本の自然の豊かさを感じられる空間となっています。その中でも奈良県産材は、国内外の賓客を迎えるVIP・VVIPエントランスやラウンジの内装に使用されています。節が少なく美しい色艶をもつ吉野杉が、伝統的な大和張りの意匠と調和し、上質な和の空間を演出。世界に誇れる日本らしいスタジアムとして、国産材、そして奈良の木の魅力を発信し続けています。

ARCHITECTURE
住所:奈良県奈良市三条大路一丁目691-1
2020年に開業した奈良県コンベンションセンターは、東大寺や平城宮跡など世界遺産に囲まれた古都・奈良の中心地に位置し、県内最大の会議場・観光交流拠点として整備されました。正倉院の校倉造りや寺社の回廊をモチーフとした意匠が随所に取り入れられ、奈良時代の文化を感じられる空間となっています。館内には奈良県産杉が多く使われており、天平広場の大屋根にはハイブリッド構造による杉集成材を採用。ホールや会議室、ホワイエにも木の温もりが広がります。こうした奈良の木の活用や県内作家とのコラボレーションが評価され、2020年12月には「ウッドデザイン賞2020優秀賞(林野庁長官賞)」を受賞しました。

ARCHITECTURE
住所:奈良県奈良市登大路町30
奈良公園の向かいに建つ奈良県庁は、屋上が開放されていることから観光客も多く訪れる、まさに奈良県の玄関口といえる施設です。玄関ホールでは、壁や天井、手すりに樹齢200年以上の杉と桧が使われ、節のない柾目や均一な年輪が奈良の木ならではの美しさと安らぎを生み出しています。EVホールには、地下1階から6階までのべ2,502本の杉材が水平に並び、隙間から覗くスチールとの対比により素材の魅力が際立ちます。木の自然な表情は来庁者の心を和ませ、奈良の木の文化と心地良さを伝える空間として親しまれています。

ARCHITECTURE
住所:奈良県大和郡山市柳町100(郡山南小学校内)
奈良県大和郡山市にある郡山南学童保育所は、旧理科室から奈良県産材を使った新施設へと建て替えられ、子どもたちが安心して過ごせる明るく開放的な場所となりました。梁や柱、床材など内装のほぼすべてに奈良県産の杉や桧が用いられ、やさしい色合いと清潔感が空間に温かみをもたらしています。子どもたちは木の床に座ったり寝転んだりしながら思い思いに過ごし、自然と木の感触ややわらかさに親しみます。床やドアにできた小さなキズにも目を向けるようになり、モノを大切にする気持ちが育まれているのだそう。奈良の木に包まれた空間が、子どもたちの感性と成長をそっと支えています。

ARCHITECTURE
住所:奈良県吉野郡吉野町河原屋200
吉野中学校は、緑豊かな環境を背景に、校舎内の天井や廊下、階段、床などに奈良県産の杉や桧を取り入れた温かみのある学び舎です。なかでも、約100メートルにも及ぶ「ふれあいモール」と呼ばれる桧の廊下は、光と風が通り抜ける開放的な交流の場として親しまれています。さらに生徒たちは入学時に、地元・吉野の桧の天板を使って自分の学習机を組み立て、3年間共に過ごします。卒業時にはその天板を持ち帰る習慣があり、仲間とのメッセージを書き合うこともあるそうです。木と共に学び、思い出を刻むこの学校には、地域とつながる温かな教育の姿があります。

ARCHITECTURE
住所:奈良県橿原市北越智町321
奈良県橿原市にある、ぽれぽれ白橿コンフォートはエントランスから食堂、廊下に至るまで杉や桧など奈良県産材を用いた温もりあるシニアホームです。木の優しい色合いや香りが空間全体に広がり、入居者に安心感をもたらします。調湿作用によって快適な室内環境が保たれるほか、わずかにたわむ木の床は歩行時の体への負担を軽減します。また、南向きのダイニング兼食堂は、食事やワークショップの場であると同時に、自然と人が集う交流の拠点でもあります。入居者たちは部屋や廊下に植物を飾ったり、外の畑で野菜を育てたりと、木の空間が暮らしに意欲を生む存在になっています。木の香りが「ここでなら安心して暮らせる」と感じさせてくれる、心豊かな住まいです。

ARCHITECTURE
住所:奈良県奈良市大宮町3-5-41
写真提供:浅田設計室
設計・監理:浅田設計室
「障がいのある方が安心して働ける場をつくりたい」という想いから生まれたFellow Ship Centerは、高い耐火・耐震基準を要する中で木造5階建てを実現するという大きな挑戦から始まりました。狭い敷地でも機能的な空間を確保できるよう採用されたのが、繊維を直交させて重ねるCLT工法。断熱性や耐震性に優れた木質パネルにより、安心と実用性を両立した建物が完成しました。奈良市に完成したこの施設では、壁や家具に奈良の木が使われており、杉の香りと柔らかな温度感が心を落ち着かせます。木の空間で過ごすことで、働く人の心身をやさしく支えるだけでなく、地域の人々が集い、交流する場としても機能しています。木の可能性を広げ、人と未来をつなぐ場所です。

ARCHITECTURE
住所:奈良県五條市上野町246
老朽化した体育館の建替を機に、林業が盛んな土地ならではの建築を目指して誕生したシダーアリーナは、構造部分にも木を積極的に取り入れた非常に珍しい木造体育館の事例です。特にアリーナの屋根には、住宅用規格材を二段に格子状に組み、対角線に鉄骨ブレース材を加えることで、軽量かつ耐震性に優れた独自の木構造が採用されました。延べ床面積5,031㎡の空間には、奈良県産の杉や桧など約2,600本が使われ、構造美と木の温もりが共存する大空間を実現。地域の技と材料を活かす「地材地匠」の精神が反映された建築として、スポーツ利用だけでなく、木造建築のショールームとしても全国から注目を集めています。