2024.01.19(更新日)
“サウナの女王”清水みさとが、再び故郷・奈良へ!サウナに使われる木材ができるまでを徹底リポート!
実は、奈良県にはサウナ界で知る人ぞ知る会社があります。それは、奈良県吉野郡下市町にある『佐野木材株式会社』(以下、佐野木材)。東京や大阪などの有名なサウナ施設にサウナ用の木材を納めているサウナ用材のトップメーカーとして知られています。そんな佐野木材が製造しているサウナ用材に使用されている桧は奈良県産!
そこで今回は、奈良の木✕サウナ企画の第2弾として、前回(https://naranoki.pref.nara.jp/magazine/enjoy/nara_report_shimizu-misato/) に引き続き、“サウナの女王”と呼ばれ、女優・タレントとして活躍中の清水みさとさんをゲストにお迎えし、サウナ用材に使用される桧が山から伐り出されて、市場にいき、製材・加工されるまでの一連の流れを体験していただきました。清水さんへのインタビューを織り交ぜ、サウナ用の木材が生まれるまでをご紹介します。
清水さん、初めて林業の現場へ!
山へ向かう道中。人の手が入った森林の美しさに目を奪われます
まずは、サウナ用材としても使用されている木が育てられている林業の現場、下市町丹生地区の森林へ。四駆自動車に乗って険しい山道を上がっていくと、作業現場に到着。下市町森林組合による、木材生産を行う道(作業道)づくりが行われていました。同組合の瀧本さんによると、この現場は2023年7月ごろから、間伐※した木を運搬するための作業道づくりをスタートしたそう。取材を行った秋頃は伐採には打ってつけのシーズン。清水さんも実際に木を伐採する作業を見学しました。
※間伐…立木の成長や森林全体のバランスを見ながら一部の木を伐って間引く作業。
今回伐採したのは、樹齢90年の桧。木を伐り倒すには、まず倒したい方向に、チェーンソーで三角形の切り込みを入れた後、反対側からチェーンソーを入れていきます。山中にチェーンソーの音が響き、ミシミシという音をたてて、木が倒れる様は迫力満点!取材チーム一同、自然と「お~!」という声が。
切り口の年輪を数えれば、木の年齢が分かりますが、植林後15年経った頃に枝打ち(枝を切り落とす作業)をした跡がありました。そういったことからも先人たちが丁寧に育ててきたことが伝わってきます。
枝打ちされた跡を確認する清水さん
――木を伐採する様子を見ていかがでしたか?
山の木々は遠目で見た感じでは細いと思っていたのですが、実際にそばで見上げると、木の大きさに驚かされました。伐採の様子はテレビでは見たことがありましたが、これほど間近で見たのは初めて。チェーンソーで伐り倒す様子は迫力があり、圧倒されました。伐ったばかりの桧の木くずは、瑞々しく、持って帰りたいほどいい匂いでした。
――林業の現場に入ったのは初めてだそうですね。
作業現場までの道中でも、瀧本さんにいろいろとお話を伺いましたが、林業が道づくりから始まること、多くの作業を人力で行うものだとは知りませんでした。林業は思っていたより、ずっと大変な仕事。実際に見るって大事なことですね。苗木を植えて、伐り出すまでには何十年という月日が必要で、何百年も前から人の手によって植林や枝打ちを行い、今に続いていることに感動すら覚えます。
幼少期から中学生までを奈良県橿原市で過ごした清水さんも、杉や桧が育つ山を訪れるのは初めてのこと。下市町森林組合の瀧本さんから「30年生までに枝打ちをすると節がなくなるので、木の価値が上がるんですよ」という説明を受けて、樹齢のことを○○年生(ねんせい)と呼ぶことに気付いた清水さん。「30年生(ねんせい)は30歳、90年生(ねんせい)は90歳ってことですね。○○年生(ねんせい)って小学生みたいでなんだか可愛いですね。でも、90年生だなんてすごいなあ。」と、林業がとてつもなく長いスパンを要する産業であることを知り、山の木々への敬意を強く感じたと話してくれました。
取材の合間に、清水さんにサウナの魅力について伺いました。
伐ったばかりの桧の香りをかぐ清水さん
――サウナのためにはどこまでも行かれると聞きました。
サウナのためなら北海道でも沖縄でも、どこまでも行きます!お仕事で地方に行ったら、行ったことがないサウナを探すのが楽しみ。実は、取材前日の昨日も天理市にある奈良健康ランドのサウナに行ってきました(笑)。世界のサウナを見て、日本のサウナの良さを実感することもありますね。海外のサウナはその国独自の文化があるところが多く、日本にはそれらをどんどん取り入れる柔軟さがあります。海外の良さを取り入れつつ、いろいろ進化したサウナ文化があるのが日本のいいところですね。
2024.01.19(更新日)
“サウナの女王”清水みさとが、再び故郷・奈良へ!サウナに使われる木材ができるまでを徹底リポート!
山から伐り出された丸太が集まる「原木市場」へ。
林業の現場を見学した後に向かったのは、大淀町にある中吉野木材市売協同組合が運営する原木市場。ここでは月に2回程度、原木(山から伐り出された丸太)を競りにかける市が開催され、奈良県内の製材業者などを中心に、約40社~50社の買い手が集まるそうです。多くの原木は“競り”で価格が決まり、取り引きされます。吉野川沿いの広大な敷地には、吉野地方等の各所から伐り出された原木が積み上げられています。取材当日は、1週間前に原木市が開催されたばかりということで、すでに買い手の付いた原木も残されていました。先ほど見学した下市森林組合が伐採した木はこの原木市で競りにかけられます。また、この後訪れる『佐野木材』も、ここの原木市で70~80年生の桧を仕入れているそうです。
佐野木材が競り落とした吉野桧
――清水さんは原木市場の存在をご存じでしたか?
そもそも原木市というものがあることも知りませんでした!木の良し悪しを目利きで判断して、競りにかけるなんて、驚きです。欲しい人が多ければ値段が上がるなんて、まるでマグロの競りみたいですね。長い時間をかけて育てた木が安い値段でしか売れないこともあると聞いて、考えさせられました。
――この原木市場では佐野木材さんが競り落とした桧もあるそうです
サウナ業界では佐野木材さんはとても有名で、私も以前から知っていました。この木がサウナになるかもしれないんですね。サウナは木が本当に大事なんです。原木市場で選りすぐられた桧がサウナ用の木材に加工されていると知って、よりサウナ愛が深まりました。
将来サウナに使われるかもしれない桧の丸太に頬ずりする清水さん
いよいよ憧れのサウナ用材のトップメーカー佐野木材へ!
『佐野木材株式会社』では、高温多湿に強く、腐りにくい独自のサウナ用材の開発や販売を行っています。
佐野木材の会社の入口をくぐると、なんとそこにはサウナが・・・!?
実はこの部屋は本物のサウナではなく、佐野木材が商談や打合せを行うためのショールーム。壁やベンチには、さまざまな樹種、形、サイズの内装材が使われています。吉野桧をはじめ、米ヒバやスプルースなどを比較することができ、来訪したお客様はそれらを参考にして、サウナ室のイメージを固めていくのだそうです。このサウナ風ショールームには清水さんも大興奮!
清水さんにサウナ用材について説明する佐野木材株式会社 代表取締役 佐野公彦さん(以下、「佐野社長」)
清水さん 佐野木材さんはサウナ界では有名で、ずっと来てみたいと思っていたんです!かなりテンションが上がっています。
佐野社長 ありがとうございます。サウナを建てる業者の方だけでなく、サウナ好きの方も弊社へお越しくださいますね。先日はととのえ親方(https://ttne.jp/agent/dai-matsuo/)もいらっしゃいました。あとは自分好みのサウナをつくるためにわざわざここまで来て使用する木材を選ぶ方もいらっしゃいます。
清水さん 自分で木材を選ぶ方もいらっしゃるんですね、すごい。このショールームで材を選んでサウナをつくるなんて、憧れます。米ヒバ、スプルース、吉野桧・・・木の手触りって樹種によって全然違うんですね。
佐野社長 最近は幅の細い材を使用したサウナが人気ですね。
清水さん 幅広の材のほうがベーシックで、あちこちのサウナで見かける印象がありますけど、最近は幅が細いのが流行っているんですね。
佐野社長 座面にはアバチを使うことも多いです。北欧でもよく使われていると思いますよ。近頃はかなり桧が注目されているのを実感しています。問い合わせや注文は圧倒的に桧が多いですね。清水さんはサウナに入るとき、木のことは気になりますか?
清水さん はい、色合いや素材感など、とても気になりますね。割れてしまったり、朽ちてしまったりしているサウナ室は残念です。いい素材を使用されているサウナはすぐに分かります。 佐野社長はサウナに入られますか?
佐野社長 入りますよ。自宅にも3人くらい入れるサウナがあります。
清水さん わあ、いいですね!
佐野社長 家にサウナがあっても、自社のサウナ材の状況も見たいので様々なサウナに行きますよ。
清水さん その気持ちすごく分かります。家と外のサウナは違うんですよね。
佐野社長が、佐野木材がこれまでサウナ用材を納めたサウナ施設やホテル、スポーツクラブ等のサウナの名前を挙げていくと、清水さんは「え、○○も△△も佐野木材さんの木が使われているんですか!?」「こことあそこのサウナはとても良かったです!」と大いに話が盛り上がっていました。
2024.01.19(更新日)
“サウナの女王”清水みさとが、再び故郷・奈良へ!サウナに使われる木材ができるまでを徹底リポート!
「エバーウッド」の特許技術を奈良県産桧に
もともと強度・耐久性・耐湿性のある桧に、独自の特許技術であるヤニ抽出加工と真空加熱処理を施し、見た目の美しさと耐久性を両立させたものが佐野木材の主力商品「エバーウッド」です。今回は、その製造過程を見学させていただきました。
①原木を仕入れます。
市場に並ぶ原木の年輪を見て、「目が詰まっているか」「枝打ちされているか」などで選別。サウナ用材には様々なニーズがあるので、それに対応できるよう、節(枝の跡)があるものから節のないものまで幅広いグレードの原木を仕入れます。
②原木を製材します。
③製材した木材を桟積みし、数日間屋外で自然乾燥させます。 乾燥していない木は重く、柔らかい状態。天日干しで一定程度、含水率を落とします。
桟積みされた木材
自然乾燥させている途中の木材の重さ確かめる清水さん。まだ少し重いよう。
④自然乾燥させた木材を特殊な容器の中で、特許技術のヤニ抽出加工などを施していきます。この処理により材料の劣化・腐敗を遅らせることが期待できるそうです。
⑤乾燥機でさらに含水率を落としていきます。木の厚みやその他の条件によって、3日~7日間かけて乾燥させます。一定の数値になるまで、含水率計でチェック 。
⑥乾燥機から木材を出して、倉庫で保管します。
⑦お客様からの注文に合わせて、壁・天井板、スノコ板、枠材などに加工します。
佐野木材で製造されたサウナ用材は日本国内でなく海外のサウナにも使われているそう。「奈良の木の良さが、世界中から注目を集めて、広がっていることを知り、とてもワクワクした気持ちになりました。」と清水さん。
――サウナ用材ができていく様子を見て、いかがでしたか?
いやー、ちょっと感動しますね。原木からサウナ用材に加工されるのを見て、よりサウナが尊くなりました。私の場合、毎日サウナに行っているので、木に座っている時間はかなり長いわけですよね。佐野木材さんの木を使ったサウナのクオリティが高いのは、こういった過程を経て、丁寧にモノづくりされているからなのだと、今回見学させていただいて実感しました。正直、とても感動しています。日本のサウナはオリジナリティもあって、どんどん進化しています。この先、どんなサウナが生まれるのか、楽しみですね。
――ご自身のサウナをつくってみたい気持ちになったそうですね。
これまではただサウナに入ることが好きだったのですが、今回、山から木が伐り出され、サウナ用の木材が誕生するまでの一連のストーリーを知って、自分の理想のサウナをつくってみたくなりました。特に奈良にはサウナが少ないので、奈良のサウナをプロデュースしてみたいです。
――森林での伐採作業から佐野木材さんの工場見学まで、今日1日いかがでしたか?
自分の目で見て、触ってみると、サウナの愛すべきポイントが増えて、もっとサウナが好きになりました。原点を自分の目で見るというのは、とても大切なことですね。それが故郷に近い場所というのが、運命を感じます(笑)。サウナは木がないとつくれません。次にサウナに入るときは、どんな木が使われているのか、もっとじっくり見てみようと思います。
私にとっては、木という存在をリスペクトして、サウナを掘り下げるとてもいい経験になりました。ありがとうございました。
知らず知らずに利用していたサウナ施設で、佐野木材さんのサウナ用材が使用されていたことを知り、感慨深げな清水さん。「奈良県出身として、世界中に吉野桧のサウナが広がることが誇らしい」と語ってくれました。
みなさんも、日本全国にあるサウナ施設で、ぜひ奈良の木の魅力に触れてみてください。
INFORMATION
佐野木材株式会社
住所 | 〒638-0045 奈良県吉野郡下市町新住77 |
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HP | https://www.everwood.jp/index.html |
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https://www.instagram.com/sanomokuzai_everwood/ |
INFORMATION
下市町森林組合
住所 | 〒638-0035 奈良県吉野郡下市町栃原2303-7 |
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HP | https://shimoshin.wixsite.com/website |
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https://www.instagram.com/shimoitisinrin/ |
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